Saturday, October 31, 2009

Ghost in the shell - film 5/9



それにおまえは新米だから白根絵だろうがな、少佐の擬体もメガテクボディ社製なんだ
少佐だけじゃねえ、おれや石川の体の一部、斉藤や他の連中も メンテナンスやらなんやら
部長とおまえを除いて9課のほぼ全員があそこのお世話になってるのさ
おれたちが憂鬱な顔並べてるわけが少しは分かったかな? 戸草くん

外因性と仮定して 敵が擬態の中か外かは分からないけど そいつは最高機密の防壁を潜り抜けて 擬体を組み立て、ゴーストラインのあるプログラムを送り込んだ

それもすぐつかまるようなやり方でな
目的はなんだ?
窃盗の線は忘れよう 戸草、現場検証に行っている石川と合流してメガテク社を洗え
バトー、メガテク社と同じクラスの機密を扱うネットを封鎖させた 防壁が機能してるかどうか再チェックしろ

わたしは防壁メールをくみ上げるわ 明日、あれにダイブしてみる
やばいんじゃないか?
擬体を代えて泳がすって手も
あの擬態のなかにいるのが何なのか どうしても確かめなくちゃならないの
わたしが潜るまで だれにもダイブさせないでよ

あいつどうかしたのか?
人形遣いの一件以来変なんだって総合評価のレポートに書いといたでしょうが
読んでねえのかよ
部長、自分の脳をいじくらせている電脳医師の人格を疑ったことは?
電脳医師は定期的な精神鑑定を義務付けられとるし
公安関係の医師は身辺調査もいれとるが それを実行するのも同じ人間だ
疑いだせばきりがない、か

部長、外務省条約審議官の中村様が面会を求めています

よし、通せ

あの太っちょのおじさん、たしか……
外務省条約審議部 別名、公安6課の中村部長 のっぽの外人は見ない顔ね
じゃ、いってくるぜ
あんまり無理すんなって石川にいっとけ

何を考えてる?
あの擬体 わたしに似てなかった?
似てねえよ
顔や骨格だけじゃなくて
なんの話だ?
わたしみたいに完全に擬態化したサイボーグならだれでも考えるわ
もしかしら自分はとっくの昔に死んじゃってて、いまの自分は電脳と擬体で構成された模擬人格なんじゃないか
いや、そもそもはじめから わたしなんてものは存在しなかったんじゃないかって
お前のチタンの頭蓋骨の中には脳みそもあるし、ちゃんと人間扱いだってされてるじゃねえか
自分の脳を見た人間なんていやしないわ
所詮は周囲の状況でわたしらしきものがあると判断してるだけよ
自分のゴーストが信じられないのか?
もし電脳それ自体がゴーストを生み出し、魂を宿すとしたら そのときは何を根拠にじぶんを信じるべきだとおもう?

くだらねえ
たしかめてみるさ
あの擬体のなかになにがあるか 自分のゴーストでな

お互い忙しい身だ 手短にいこう
そう ありたいものだな
例の擬体の中身を回収に来た
見返りにきみたち9課はこの件から開放される
外務大臣のサインだ

保安部、地下駐車場に入っている外部の公用車は?
条約審議部の中村部長と同伴車ドクターウィリスで登録されています
入管時の映像を送ってくれ
もう一度、赤外で

1 2 3

地下駐車区画の 感圧計の記録をまわしてくれ Bの 7と8

少佐、こちら戸草 コード09
どうした?
中村部長の体って特注の擬体?
6課にサイボーグはいないわ
海外で活動する都合上 メンテナンスと相手国の感情を考慮してね

じゃ あののっぽの白人がサイボーグだったとしても
二人の体重が500キロを越えるなんて事はないわけだ

感圧記録ね
駐車場の?

高そうな車がふたりとも自分で運転するタイプには見えなかったんで
監視カメラの映像には二人しか写ってないけど
入り口のドアってやたら感度よかったでしょ?
閉まるのが3秒ほど遅いんだ
たしか、政府施設内での熱光学迷彩の使用は違法でしたね?

国家機密法違反で重罪よ
6課が何かやばいこと考えてるわね
用意できてる?
マテバでよければ

言うまでもないことだが 我々の間ではいかなる機密も明らかにせねば、国家への反逆を問われる

お互いにな

外務省の意向がどうあれ、これは9課が担当すべき事件だ
だが、納得できる理由さえあれば 協力するにやぶさかではないがな

ドクターウィリス

確認した 間違いなく 彼だ

彼?

この擬体の内部に存在するゴースト障壁のオリジナルのことだ
もっとも性別は不明で 彼とはドクターのつけた愛称に過ぎんがな
改めて紹介しよう
こいつは電脳犯罪史上もっともユニークと評されたハッカー、人形使いだ
きみたち9課も、外相の通訳のゴーストハック事件でやつに遭遇したはずだ
我々6課はその出現当初から重大な関心をもって人形遣いを監視し続けていた
ドクターウィリスを中心にプロジェクトチームを作り、人形遣いに関するあらゆるデータを分析してその犯罪の傾向や犯罪パターンを特定した
そして対人形使いようの特殊攻性防壁をくみ上げて 彼がどこかの機密ボディに入り込むように仕掛けた

人形遣いを擬態の電脳にダイブさせ、その間に本体を暗殺した

そんなところだ たまたまきみたちの庭に出てきたが やつはアメリカ生まれ出し アメリカの協力で捕まえたのだから我々の手で回収したい 異存はあるまい

やつの死体はどこかでだれとも知れぬまま発見さえれるわけか

死体は出ない なぜなら今までボディは存在しなかったからだ

センサーが作動していたのか なぜ先にそれを言わん!

外部コントロールは切れています
擬体の自立的出力だ

擬体に入ったのは6課の攻性防壁に逆らえなかったためだが、ここにこうしているのはわたし自身の意思だ 一、生命体として政治的亡命を希望する

生命体だと? 馬鹿な 単なる自己保存のプログラムに過ぎん

それをいうなら、あなたたちのDNAも また、自己保存のためのプログラムに過ぎない 生命とは情報の流れのなかに生まれた結節点のようなものだ
主としての生命は、遺伝子という記憶システムを持ち 人はただ記憶によって個人足りうる 例え記憶が幻の同義語であったとしても、人は記憶によって生きるものだ
コンピューターの普及が記憶の外部化を可能にしたとき、あなたたちはその意味をもっと真剣にかんがえるべきだった

詭弁……

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