Tuesday, November 10, 2009

5 Centimeters Per Second episode 2 コスモナウト 2/3



どうしても決められないなら 県内の短大とかはどうなんだ?
でも おねえちゃんは関係ないのに

だって、おねえちゃんにねだってはじめたサーフィンも 一番大切だと思うあの人のことも わたしはまだ全然……

いつもありがとね
いえ それじゃあ また

遠野君がいる場所にくると、胸の奥がすこし 苦しくなる

遠野君!
澄田 どうしたの? よくわかったね
遠のくんの単車があったから きちゃった いい?
うん、そうか うれしいよ 今日は単車置き場で会えなかったから
わたしも

彼は優しい 時々泣いてしまいそうになる

ねえ、遠野君は受験?
うん 東京の大学受ける
東京 そうか そうだとおもったんだ
どうして?
遠くに行きたそうだもの なんとなく
澄田は?
わたし、明日のこともよく分からないのよね
たぶん 誰だってそうだよ
うそ 遠野君も?
もちろん
ぜんぜん迷いなんてないみたいに見える
まさか、迷ってばかりなんだ おれ できることをなんとかやってるだけ
余裕ないんだ
そっか そうなんだ

飛行機?
うん

すごい
時速5キロなんだって 南種の打ち上げ場まで 今年は久しぶりに打ち上げるんだよね
ああ、太陽系のずっと奥まで行くんだって 何年もかけて

あんた、花苗の進路 ちゃんと相談に乗ってあげなさいよ ぼんやりした子なんだから
大丈夫よ あの子ももう子供じゃないんだし
わたしも昔はああだったなあ

ねえ、カブ 遠野君分からないんだって
いっしょなんだ 遠野君も

それは本当に、想像を絶するくらい 孤独なたびであるはずだ
本当の暗闇の中をただひたむきに 一つの水素原子にさえ、めったに出会うことなくただただ、深淵にあるはずの世界の秘密に近づきたい一心で
ぼくたちはそうやってどもまで行くのだろう
どこまで行けるのだろう

出す宛のないメールを打つくせがついたのは いつからだろう

花苗 あんた進路決めたの?
ううん やっぱりまだわかんないけど
でもいいの 決めたの
一つずつできることからやるの 行ってくる

あの日から 幾つかの台風が通り過ぎ そのたびに島は少しずつ涼しくなっていった

サトウキビを揺らす風がかすかに冷気をはらみ 空がほんの少し高くなり 雲の輪郭が優しくなって
カブに乗る同級生たちが うすいジャンパーを羽織るようになった

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