Wednesday, November 11, 2009
5 Centimeters Per Second episode 2 コスモナウト 3/3
わたしが半年振りに波の上に立てたのはまだ夏がかろうじて残る そんな10月の半ばだった
本日、夕方からの天候は晴れ 最大風速は8メートルとなっています
佐々木さん山田から告白されたらしいよ
さすがだな
あれ 花苗なんか今日うれしそうね
遠野君となんかあったの?
うそ!?
わたしだって、今日こそ遠野君に告白するんだ
波に乗れた今日言わなければ この先もきっとずっと言えない
澄田
遠野君
今帰り?
うん
そっか じゃあ一緒に帰ろうよ
あれ 澄田 今日はもうきまり?
うん
どうしたの?
(やさしく)しないで
え?
ううん ごめんなんでもないの
調子わるい?
うん
変だな
だめ?
うん
プラグの寿命なんじゃないかな これお下がり?
うん おねえちゃんの
加速で息継ぎしてなかった?
してたかも
今日はここにおかせてもらって、後で家の人に取りに来てもらいなよ 今日は歩こう
え わたし一人で歩くよ 遠野君は先帰って
ここまで来れば近いから それにちょっと歩きたいんだ
遠野君 お願い
どうしたの?
ごめん なんでもないの ごめんね
澄田
お願いだから もう わたしに 優しくしないで
必死に ただ闇雲に空に手を伸ばして あんなに大きな塊を打ち上げて 気の遠くなるくらい向こうにある何かを見つめて
遠野君は他の人と違って見える理由が 少しだけ分かった気がした
そして同時に、遠野君はわたしを見てなんていないんだということに わたしははっきりと気づいた
だからその日 わたしは遠野君になにも言えなかった
遠野君は優しいけれど とてもやさしいけれど でも遠野君はいつもわたしのずっと向こう もっとずっと遠くの何かを見ている
わたしが遠野君に望むことはきっと適わない それでも それでもわたしは遠野君のことをきっと明日も明後日もそのさきも やっぱりどうしようもなく好きなんだと思う
遠野君のことだけを思いながら 泣きながら わたしは眠った
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